2018年8月9日木曜日

東京医科大学を庇い立てする

東京医科大学を庇い立てする

東京医科大学が激しい批判を浴びている。官僚に便宜を図っただけではなく、入試において状態的に女子・浪人生の入学を遠ざけていたからである。しかし、誰もが進んで不正をしたいわけではないように、東京医科大にもそれなりの理由が想定できる。

1. 規制産業ゆえに、官僚とつながっていたい


東京医科大学は教育機関である以上、日頃から文科省より様々な指導を受けてきただろう。官公庁に悪意のないミスを唐突に指摘され、「改善しない場合は」と脅しをかけられるのは、勤め人であれば立場が上になればなるほど経験することだ。正しく申請を行っても認可が下りるかどうかも、官公庁の人間の胸先三寸で門前払いにされることもあっただろう。

そういった経験を重ねるうちに、官僚とつながっていたいと思うのは、自然な感情であろう。そこに、東京医科大学のスキができてしまったとしても、東京医科大学を責め立てることなどできようか。

2. 医師には応召の義務がある


女性医師が働きやすい職場を作るべきだという声は多い。だが、医師法19条には「第十九条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と書かれている。

これはどういうことかと言うと、医師は夜中であろうが、何かの私用があろうが、患者が求めるならば、診察しなければならないということである。具体的には、医師自身が重病か、豪雪が降り積もる富士山のような物理的に往診できない場所以外では、医師は仕事をしなければならないとされている。だから、医師は休むことは基本的にできなくなっている。

ただし、極端な例でない限りは、他の医師を「当直医師」「救急当番医師」として代理に立っている、そして、自分も「当直医師」「救急当番医師」として努めているならば、自分の睡眠時間を確保することは非難されることではないだろう。技術があっても当直しない医師は、そもそも病院では発言権が皆無だというのが現実であり、都合の良い時間で働ける「働きやすい」場所で働いている医師は、声を上げても「当直」「救急当番」を行っている医師の声には勝てない。

この医師法第19条は、医師がストライキを行って医療が回らなくなるのを防ぐために設計されたものであろう。そういうことはありえないのだが、現在、地方での医師不足が叫ばれるなど「立ち去り型サボタージュ」という言葉が使われるようになた。そうであれば、応召の義務はまさに、今日の問題「立ち去り型サボタージュ」の解決のためにあり、医師が私用を優先するのは非難されうると考えるべきであろう。

そして、この医師法19条は官公庁がFAXで度々病院に「医師法19定により」診療拒否するなと送りつけてくる。病院は方や「働きやすい」を求められ、方や「応召の義務」を官公庁から指摘される。その間に挟まれている病院幹部から「男性医師を中心に」という要望があったとしても、おかしくない。

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